語学学習の基本:辞書と文法書は必携だ

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僕が高校生の頃は進学と同時に辞書を買うというのが当たり前だった。

中学校レベルの英和・和英辞典で高校の教科書を読むことは到底不可能だし、英語の授業で辞書を机の上に置くのは当然。学期中はロッカーの中に入れていたけれども、授業に辞書を持ってこないというのは、教科書やワークを持ってこないのと同じレベルの問題だった。

学部4年のときに教育実習をしたときもほぼ全員が持っていたと記憶している。

それが、いつからかわからないけれども、学校で辞書や文法書を買わせることをしなくなったらしい。複数の学校で教壇に立ってカルチャーショックを受けた。

語学学習は辞書と文法書を持たずして成り立たないというのに。

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単語帳は辞書になり得ない

最近の学校では単語帳・熟語帳や4択式文法問題集は買わせるらしい。学校採用品には出版社が作った問題作成ソフトなどの教授用資料がついてくる。どうもそういうものを使って小テストを行っているようなのだ。

百歩譲ってそれはいいとしても、辞書を使わずにどうやって訳語を調べるのか

生徒たちは小テストに使う単語帳をペラペラとめくり出す。

たまたま訳語が当てはまれば運がいいけれども、載ってないことのほうが多い。当然だ。単語帳はそういう用途を意図して作られてはいないのだから。

基本文型と品詞を押さえてから辞書を引く

さて、では高校生用の英和辞典を買ったとしよう。例えば “walk” という単語を引いてみたとする。自動詞で「(人などが)歩く」という意味を最初に覚えたひとが多いかと思う。 “I usually walk to school.” なんかがその例だ。

では、こんな文はどうだろう。

  • I walked the beach alone for hours. (ライトハウス英和辞典第6版)

このくらいなら推測で何とかなるだろうか。他動詞で目的語に<場所>を取って、ここでは「浜辺を歩いた」という意になる。

  • I’ll walk you to the station.(ウィズダム英和辞典第3版)

ここまでくるとお手上げだろう。「(人が)A(人)に歩いて同行する」という訳語が与えられている。

  • I walk the dog every morning.(ジーニアス英和辞典第5版)

上の例に似ているが、「(動物を)散歩させる」。

基本の意味はあるにしても、自動詞か他動詞かという使われ方だけでこれだけ訳語が変わるのだ。

更に困ったことに、この単語は同じ綴りで別の品詞になったりする。

  • My father takes a walk every morning.
  • Every morning I take my dog for a walk. (ライトハウス英和辞典第6版)

熟語帳で “take a walk” は「散歩する」だなんて覚えたりすることもあるだろう。限定詞(不定冠詞)がついているから名詞として使われている。では次の文は単語帳や熟語帳に載っているだろうか。

  • It is a short walk to the school. (ジーニアス英和辞典第5版)

なんとなく分かるかもしれないが「歩行距離」を表していて、「学校までは歩いてすぐだ」という日本語訳が添えられている。 “a … walk” だから当然名詞だ。

このように、品詞と基本文型を意識しないで訳語を与えようとすると英語が摩訶不思議に見えてしまう。「文(sentence)・節(clause)の中に述語動詞は1つ」と習ったはずなのに動詞が2つある!なんていう間違いが起こってしまうことになる。

闇雲に辞書を引いてはいけない

僕の手元には『伊藤和夫の英語学習法』(1995年、駿台文庫)という古典的とも呼ぶべき本がある。この中では、「時間があれば、辞書の中から大切そうなところを単語帳に書き抜いて、その中から、最初の意味か、カンで良さそうだと思われる意味をテキストに当てはめてみます」(p.4)という生徒役の発言が載っていて、それを諫めるかたちでレクチャーが進んでいく。

  • The quickest means of travel is by plane.(p.5)

生徒役が動詞 “mean” 「〜を意味する」から類推して “means” に「意味」という訳語(「意味」は “meaning”)を与え、「旅行の一番早い意味は飛行機だ」という誤訳を作ってしまうのだ。

何がどう間違っているのかは辞書を引いて確かめて欲しい。

市販の単語帳は辞書ではない

「辞書の中から大切そうなところを単語帳に書き抜」くようなひとは今では稀な存在になっているような気もするが、それはともかく市販の単語帳は辞書ではない。

辞書を引くときですら構文を捉えて品詞と文型に合ったものを探すという訓練が必要なのに、必要な情報が充分に載っていない単語帳で調べて何がわかるというのか。

因みに、『伊藤和夫の英語学習法』では、辞書はレベル別・用途別に「3冊ぐらいは備えていて当然」(p.14)とされている。最低でも、『エースクラウン』などの高校初級レベルの辞書か『ライトハウス』などの高校生向けの辞書のどちらか、それに加えて『ウィズダム』あたりの語彙数の多いもの、この2種類は備えておくべきだと思っている。

※大は小を兼ねない。

辞書の選び方については別の記事に書くとして、市販の単語帳はスキマ時間に眺めて語彙力の漏れをチェックするだけにしよう。

オススメ参考書

文法ドリル

基本例文を繰り返し学習することで英語の「かたち」に慣れることが必要。

  • 田中健一(2019)『英文法入門10題ドリル』(駿台文庫)
  • 田中健一(2018)『英文法基礎10題ドリル』(駿台文庫)

総合英語(文法参考書)

本当は硬派な文法書を薦めたいところだけど、ドリルで学習したことの復習に総合英語のテキストを1冊は手元に置こう。

  • 中邑光男・山岡憲史・柏野健次[編集主幹](2017)『ジーニアス総合英語』(大修館書店)

高校生向け英和辞典

収録語数は多くないがそのぶん説明が充実している。

  • 投野由紀夫[編](2013)『エースクラウン英和辞典』(三省堂)
  • 竹林滋・東信行・赤須薫[編](2012)『ライトハウス英和辞典』(研究社)

上級英和辞典

収録語数が多く語法の説明も充実しているのはこのあたり。

  • 井上永幸・赤野一郎[編](2018)『ウィズダム英和辞典』(三省堂)
  • 野村恵造・花本 金吾・林龍次郎[編](2016)『オーレックス英和辞典』(旺文社)

参考文献

  • 伊藤和夫(1995)『伊藤和夫の英語学習法』(駿台文庫)
  • 関山健治(2007)『辞書からはじめる英語学習』(小学館)

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